chapter 4-1 . 退屈、とか、一般受けしない、とかそんなことにならないだろうか

第一話の撮影が終了してからちょうど二週間後、第二回目の撮影が始まった。この二回目に撮影されたエピソードは第三話として放送された。

タイトルは「ジョニー・ウェイバリー誘拐事件」。地主マーカス・ウェイバリーの息子を誘拐するという脅迫文が届く、という事件である。マーカス・ウェイバリーを演じたのは旧友Geoffrey Batemanである。

 

Geoffrey Batemanとは1971年にコンナートシアターで一緒に仕事をしたことがあった。1950年の日本映画「羅生門」を舞台化したもので、彼は侍を演じた。

私は俳優として駆け出しのころだったので、立ち回りや追いはぎの役をやっていた。

Geoffrey Batemanは今回、地主の役で、若干落ち目の田舎の屋敷の主人、そして息子が誘拐されるかもしれない、という設定である。ディレクターは第一話と異なり、Renny Rye。若干40歳、第一シリーズで5話分のディレクターを務めることになる。

Rennyの経歴は、テレビで子供向け番組「Blue Peter」から始まる。その後、演劇科を卒業する。彼はポワロの制作メンバーとして1991年まで参加し、その後、イギリスのドラマシリーズ「Midsomer Murders」と「Silent Witness」を監督する。

 

「コックを探せ」のディレクターだったEd Bennettはスケジュールの都合で、編集室にこもりっきりになっていた。

そこで今回はRennyがディレクターとなった。Edは次の撮影でメガホンを取り、その間Rennyが編集作業、という具合だ。1989年の1月に放送を間に合わせようとすると、つまり撮影終了から3週間後ということなのだが、ロンドンウィークエンドテレビから提示されたスケジュールに合わせて20週間で撮影を終わらせないといけないので、ディレクターが1話ごとに交互に代わるというのは苦肉の策だった。

 

「ジョニー・ウェイバリー誘拐事件」では、またもやポワロは田舎に嫌気がさしている。ヘイスティングスの愛車ラゴンダが故障して、歩く羽目になった時もぶつくさ言っている。この故障のせいで、誘拐事件に間に合わなくなるのだが。

田舎をものともしないジャップ警部は警官を複数引き連れて、誘拐事件を未然に防ごうとするのだが、失敗する。ポワロは、この誘拐は家族を良く知る人物の犯行だと気づき、ジョニーを見つけるのに成功する。

 

撮影を重ねるにしたがって、ヒューともフィリップとも仲良くなっていった。

3作目「ミューズ街の殺人」の出だしのシーンは、ガイ・フォークス・ナイトの花火の後夕食を終えて、ヘイスティングスがミューズ街の車庫にラゴンダを停め、3人が家の方へと歩いているところから始まる。もちろん他の出演者とも仲良くなれた。

David Yellandは「ミューズ街の殺人」のメインゲストだ。彼は「Chariots of Fire」で皇太子役を演じ、オスカーを受賞している。ケンブリッジで英語を学び、私より1歳若く、今回は野心的なチャールズ・レイヴァートン=ウェストを演じ切った。