chapter 4-3. 退屈、とか、一般受けしない、とかそんなことにならないだろうか

だが、私も俳優であるからして、このシーンをどう演じたらいいかわかっている。

直感的に、どう演じるべきかも、演じ方もわかっている。ポワロのことはよくわかっていたので、誰かに教えてもらう必要もなかった。誰よりもうまくできると思った。

 

ポワロも私も完ぺき主義者なので、犯人解明のシーンに誰の手助けも必要ないのだ。

私とポワロはよく似ているが、個々の人間であることも脚本の行間に感じることがあった。

 

ポワロが痛ければ私も痛い。私が戸惑えばポワロも戸惑う。

 

ポワロと自分はうまいこと共存していた。

 

5作目は「4階の部屋」で、ポワロが女性に対する敬意を表すシーンで、それは表現されている。

ポワロの住居兼事務所がある、ホワイトヘイブンマンションは、実際の名前はフロリアンコートと言い、ロンドンのチャーターハウススクエアにある。14世紀に建てられた修道院で後にチューダー家の屋敷になる建物や、17世紀に建てられた学校や養老院が近くにある。

 

スミスフィールドマーケットにも近く、チャーターハウスはロンドンにあるスクエアの中でも最も美しい隠れた名所である。

ロリアンコートは1936年、スクエアの東側に建設された。9階建てで、屋上の庭と室内プールがあり、全体にアールデコ様式の建築が施されている。

ロンドンにあるアールデコ様式の建築物の中でも、よく保存されていると思う。ポワロはここの6階、56B(イギリスの5階、日本では6階)に居を構えている。

 

Regalian不動産が1890代に改装を行い、撮影に使用することを許可してくれた。

だが、やはり少し老朽化しているのは否めなかった。ドラマの時代設定である1936年から38年には、外壁はもっときれいだったはずだ。クリスティは大半の作品をそれより以前に発表しているが、ブライアンはドラマの最初から、時代設定を1936年から38年の雰囲気とする、としていた。