chapter 5-1. 木槌で頭を叩かれているような感じ

家族そろってクリスマスを迎えた。

ロバートとキャサリンはまだ幼く、私の両親もシェイラの母親も存命だったので、にぎやかなクリスマスだった。だが、私は心の中でポワロのことばかり考えていた。

体は疲労から回復しつつあったが、視聴者の反応が気になって仕方なかった。

 

クリスマスが開けるとすぐ、ドラマの宣伝が始まった。

すると私も知らされていなかったのだが、ポワロ役についてインタビューされている自分の姿が次々とテレビに映し出されていた。

視聴者は私が演じることにどう思っているだろうか、またこれまでの私を知っている演劇ジャーナリストはどう評価するだろうか、と、考えだしたら止まらくなってしまった。

ありがたいことに大方の意見は好意的だった。

 

一安心したが、実を言うと私は完成したドラマを見ていなかった。

話し合いが必要だと思われたシーンは、ブライアンが、そこここでみせてくれたのだが、スケジュールが非常にタイトだったこともあり、1作品も完成形を観ずじまいだったのだ。

時間ばかりが経ち、そのまま第一話が放送される日が近づいていた。

 

1989年1月6日、金曜の朝、デイリーメール紙で、ベテランのエンタテインメント評論家David Lewinが

「デビッド・スーシェは性格俳優にして、イギリスで初めてのテレビスターになる」と好意的な記事を書いてくれていた。

Lewinは、クリスマス後の宣伝が始まってから、初めて話すことのできた一人だった。

Lewinは、著名な性格俳優であるSir Alec Guinessと私を比較していた。Guinessの代表作にはイーリングコメディ「Kind Hearts and Coronets」やDavid Leanの「Bridge on the Kwai」がある。

私は常々Guinessを尊敬していたので、大変光栄だと思ったが、彼と比べられるなんて身に余る称賛だと恐れ多かった。

 

1989年1月の日曜、私とシェイラは腰掛けてゆっくりと「コックを探せ」を鑑賞した。一体私はどんな風に映っているのか、ドラマの出来はどんなだろうか、そして、そして、視聴者の反応はどうだろうか。

観終わっても、どんな反応が返ってくるのかまったく想像できなかった。