chapter 5-2. 木槌で頭を叩かれているような感じ

シェイラにきいた。

「どう思う?」

「素敵だと思うわ」と彼女。

「もちろん、あなたもね。このドラマは成功すると思うわ」

 

だが私は彼女の言葉を信じていなかった。

私がメインキャストを務めたドラマとしては「Blott on the Landscape」が先に放送されていた。自分は堅物で古典が似合う俳優だと思っていた。イアゴーを演じていた私が、ポワロになりきれるものだろうか。

 

ところが、翌日の月曜朝、それが可能なのだと確信させられた。

少なくとも評論家は好意的だった。ドラマを楽しんでくれたようだし、視聴者も同じようだった。ロンドンウィークエンドテレビから電話があって、昨夜は800万人以上が観たというのだ。イギリスの視聴者数としてはかなり多い。

 

新聞を見て、シェイラに言った。

「信じられない。ベタボメだ」

彼女も驚いていた。

 

例えば、デイリーエクスプレス紙でAntonia Awinsonは、私のポワロを

「比類なき」ポワロと書き、美しく整えられた口髭、細かなディテイルにまでこだわった服装、そしてポワロの性格が完璧なまでに表現されている、そうまさにこれがポワロ、ポワロは今ここにいる、

とまで書いてくれた。

 

その日の午後には、ロンドン・イブニング・スタンダードのJesi Stephenが

「素晴らしい!」と書き、「今までのポワロを超えた。ユーモアを持ち、好奇心みちていて礼儀正しいベルギー人の探偵を、スーシェは見事に演じた」と続けた。