後宮小説/雲のように風のように

鬨の声を聞きながら、邯鄲の夢に酔う

アニメ「雲のように風のように」で、以下のシーンがある。素乾城に反乱軍が侵入してきた後 双槐樹は義母のところに行き、御簾越しに話しかける「逃げることをおすすめ申したのに、 まだいらっしゃったのですか 聞こえるでしょう 反乱軍のあのトキの声が…」こ…

少女の成長

オードリーヘプバーンの言葉だったと記憶している。「賞を受賞したからといって、私は何も変わらない。 誕生日がきても、何も変わらないのと同じ」鳥海監督によると このアニメ「雲のようにに風のように」は、田舎の幼い少女が、後宮という封建社会に身をお…

ファンタジーというカテゴリー

ファンタジーは好きなジャンルだと思う。 恋愛やホラーは好まない。恋愛は、ストーリーの構成要素として存在しているのは、むしろ好ましく思っている。ただ、恋愛をメインに据えられると、映画にしろ、小説にしろ、食指が動かない、というだけである。理由は…

カオスという存在

混沌と名付けられた登場人物がいる名は体を現すという表現があるが、この人物は、存在そのものを現している「後宮小説」の後半、反乱軍(といっていいのか分からないが)が一国の太平を脅かし、度重なる幸運によって、王朝を滅亡させた張本人なのだが、本人…

玉遥樹

アニメ化の際、人物像が大きく変えられた点でいえば、菊凶と並んで玉遥樹が挙げられるだろう菊凶がクールビューティ(この言葉を男性に当てはめてもよいのかは知らないが、使う)から、コメディタッチに格下げ(?)的な変更をくらったのに対し、 原作におけ…

ジェンダー

実写版「美女と野獣(2017年)」で、ディズニーは初めて同性愛者を描いた。らしいらしい、というのは私はディズニーの全作品を見ているわけではないので…ディズニーの「美女と野獣」はアニメ、実写版、どちらも見た。 素晴らしい出来だった。 が、今回そちら…

瀬戸 角人

セト カクート と読ませている。 小国ではあるが、王族の血統に生まれ、白眉の向こうに蒼い瞳をもつ、齢70を越えた哲学家である。私はこの老哲学家が出てくる場面を好んで、なんども読み返している。 「後宮小説」がタイトル通り、主に後宮の出来事を書いて…

菊凶

後宮小説がアニメ化されるにあたって、大幅な人物像改変が行われた1人が菊凶だろう 原作者から「たのむわ…菊凶」と書かれた不憫な(?)人物である私はアニメを先に見ていたことと、原作を読んだのが中学一年生だったこともあり、あまりよくわかっていなかっ…

モチーフとしての馬小屋

もはや名ばかり、落ちぶれた(と自分で言っている)皇帝双槐樹と、一応正妃の官職についている銀河が、名実ともに(?)、結ばれる…いや、ここは角人先生的にいおう。 二人が後宮哲学を証明する場所が馬小屋である。 分からない人は「後宮小説」を読もう私は…

江葉

原作者もおそらく気に入っている登場人物の1人ではないだろうかそして、アニメでも多くのファンを獲得したと思うし、原作をほぼ忠実に再現していた。というのも、放送された後、アニメ雑誌では、江葉だけを描いた読者のイラストが多数掲載されたのを見たか…

君は亜麻色の髪をみたことがあるか

亜麻色の髪とはどんな色だろう と思ったのは中学一年のときである後宮小説に 「 双槐樹は(中略)腰のあたりまで届くであろう亜麻色の髪を」 という記載があったからである。なぜ亜麻色に引っ掛かったかというと、 アニメ「雲のように風のように」では、双槐…

後宮小説/雲のように風のように

注意: タイトルの作品について、ネタバレがありますので、気にするかたは、ご覧になりませんよう。 以下本文 「後宮小説」は酒見賢一氏の処女作で、第1回ファンタジーノベル大賞受賞作である。三井不動産が一社独占スポンサーをはり、大賞はアニメ化するこ…