涼中将と瑠璃

涼中将の外見を描写する瑠璃の心うち

「いい男で、ただ少し肉付きがゆるく、全体に柔和で、微妙に線の崩れた感じがある。

もともとそうだったというより、婚家の権力に抑圧されて、その面当てに、浮気をしては妻と諍いを繰り返す生活で、少しずつ、何かが砂のようにこぼれ落ちていく。。。そんな感じだった」

私はこの描写がすごく好きだ
聡子姫が一目惚れするほどの容姿を持つ涼中将が。。。


ん?
容姿というのは、個人の好みの問題なので、一目惚れすることと、一般受けする容姿の美しさかどうかは関係ない、よね?

というのも、私がつとめている会社で、ある新入社員の女のコが、年上の先輩社員に電撃的一目惚れをして、見事ゴールインしたカップルいるんですが
その一目惚れされた男性、
その新入社員の女のコ以外「かっこいい」って言ってるの聞いたことないヨ

結婚てさ、ホントに不思議だよね


話がそれたけれど
涼中将は「一目惚れされるほどの容姿端麗」という設定で
(ジャパネスクには美男美女がゴロゴロ出てくるけど)
その数年前の容姿が結婚生活を経て、変わりゆく様を描写しているところに、すごく惹かれる。

たぶんこれは私が年を取ったからだ。

そして今、私の周りに壮年の男性しかいないのよ。。。
そんな男性陣を見ていると
年を重ねるというのは、不思議な魅力というか、
年を重ねた顔というのは、履歴書みたいな感じがあるなあ、ということ

だから生まれ持っての容姿ではなく、重ねた年に対して「素敵だなあ」と思うことがある

結婚して良かったと思うのは
「素敵」という感情を恋愛感情に結びつけなくて良くなったことなんだけど

気軽に「素敵」を連発しているが
そこに恋愛感情は1ミリもない
(あったらこんなとこに書くもんか)

話を戻すと
この時の瑠璃は結婚前で
涼中将と聡子姫の姿に、高彬と自分の結婚生活の行方を重ねて憂慮したり、結局は個人の人生の問題なのだ、と割り切って考えたりする。

10代のキャピっとした恋愛をする時期にしては
随分と大人びた考えをすることになってしまう
経験なのだけれど

「大人の不条理さ」を苦い薬のように飲み込んで行く様は
涼中将の容姿の変化と共に

随分「大人」になってしまった私としては、
応援したくなるような、
はたまた瑠璃のいいところを無くさないでほしい、
と思う複雑な心持ちで眺めてしまうのである。

#なんて素敵にジャパネスク
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