2022-01-01から1年間の記事一覧

「有明の別れ」南條範夫

原作古典の「有明の別れ」は とりかえばや物語と似たところのある物語ですが、 成立したのはとりかえばや物語より後、ということになっているようです。原作の古典では 男装の女君(「ざ・ちぇんじ!」(氷室冴子著)の綺羅君(女)に当たると思えばいいです…

恋愛初期の行動がワンパターン

今回は管理人のただの雑感です (いや、いつもか) 平安時代の上流貴族のデートはワンパターンである 夕方、もしくは日が暮れてから 男性が女性のところにやってきて 朝帰る (たまに帰らないこともある) ごくごくまれに女性が男性の元に行くこともあります…

「もしも紫式部が大企業のOLだったなら」 井上ミノル

「もしも紫式部が大企業のOLだったなら」 井上ミノル著 図書館で見つけてパラパラめくり ナニコレ 超面白そう! と借りました。 小倉百人一首の詠み人と歌を 現代風に解釈し、紹介している内容です ただし百首全てではなく、30首ほどとその詠み人について、で…

「後宮」3−5巻 海野つなみ

まあ、わかっていましたが 放浪部分は かなーーーり端折られていましたし、 文字が多くなって読み辛いですな。。。 放浪部分はあまり派手な展開もないですし、二条が困窮していく様がかなり辛い部分でもあります。ただ、そこの部分は漫画では描かれていなか…

「後宮 1,2」海野つなみ

「とはずがたり」を元にした 「後宮」1,2巻を読みました。 まず、クチコミに散見される「人物描き分け」問題 原作を読んでから、こちらの漫画を読むと、誰がどこで登場するのか分かっているのと、読み慣れてくると、クチコミほど人物が描き分けられていな…

「とはずがたり」後深草院二条/訳 佐々木和歌子

1258年生である久我雅忠の娘が書いた日記 本名が残っておらず、後深草院に仕えた女房、二条ということで、後深草院二条となっています。 海野つなみ氏が「後宮」というタイトルでコミカライズされています。 そちらはまだ全部読んでいないのですが、ネットの…

都会病

↑塗籠 ずっとどんなのか気になってました 見れて感激@斎宮歴史博物館 映画「千年の謎」で藤壺と光源氏が逢瀬を果たしたのは、あれは塗籠だったんだね 私は比較的都会に住んでいます 東京ではありませんが 石を投げればコンビニに当たり 最寄り駅は徒歩1分 も…

「わりなき恋」 岸恵子

岸恵子さんの「わりなき恋」を読みました この本の存在を知ったのは、「トヨトミの野望」です。 還暦前後の男性と、古希の女性のラブストーリーで 岸恵子の私小説ではないかとの噂がある作品です相手の男性も特定されていて、岸恵子とお付き合いされていたこ…

小説「月の輝く夜に」

同名の映画がありますが ここでは氷室冴子著「月の輝く夜に」について 「ざ・ちぇんじ!」と同じ文庫に収録されていたので、読んでみました。今市子さんのカラー表紙絵がとても美しい装丁の本です平安時代を舞台にしたお話ですが 「ざ・ちぇんじ!」 「なんて…

鷹男_リーダーはツライ

まだ6歳の幼い異母弟を、命だけは救う為にと 出家させねばならずその親王の出家を、極秘で行うよう指示できるほど信頼し、位階も上げた僧侶(唯恵)は 実は存在すら知らなかったほぼ同い年の異母弟で、 その事実を知らないうちに、異母弟に殺されかける年の…

高彬が瑠璃と結婚した理由

今回改めて読み直してみて思うのは なんで高彬は瑠璃とそんなに結婚したいんだろう、ということだったカルガモの子供みたいに 初恋の女のコが結婚相手、という刷り込みでもおこっているのだろうかそれくらいブレない瑠璃がいろんなトラブルを起こしても 「そ…

吉野君の行方

荷葉の女 正確に言うと唯恵(吉野君)と、深夜に石山寺のお堂の裏で 殺人計画の話をしている時、 闇夜にまぎれて「荷葉」の香りが漂ってきたことに気付いて 「あ、荷葉が」 と呟いてしまった為に、唯恵に毒殺されてしまった、なんとも気の毒な登場人物しかも…

涼中将と瑠璃

涼中将の外見を描写する瑠璃の心うち「いい男で、ただ少し肉付きがゆるく、全体に柔和で、微妙に線の崩れた感じがある。もともとそうだったというより、婚家の権力に抑圧されて、その面当てに、浮気をしては妻と諍いを繰り返す生活で、少しずつ、何かが砂の…

小萩

瑠璃姫付き女房の小萩は人好きするタイプで 瑠璃とだけじゃなく、 瑠璃の父母、融のほうとも うまくやっている邸づとめの女房としては非常に珍しいタイプ と書いてある家人への気遣いもかなりできるみたいだし、 先輩女房として、生意気な後輩(早苗)をかば…

姫の懐剣

これまでは、ジャパネスクを読んで疑問に思ったことを、 ググッてみたら こんなことがわかったということを書いてきたのですが今回は「結局よく分からなかった」ことについて、ですジャパネスク2では、 三条邸の焼跡で、瑠璃は懐剣(短刀)で吉野君を刺しに…

殿方の被り物

漫画のジャパネスクで、貴族の殿方は 烏帽子を被った姿で描かれることが多いです登場回数が圧倒的に多い高彬は 冠だったり烏帽子だったり、で登場します融やお父さんはほぼ烏帽子姿。。。烏帽子も冠も、 スポって、ただ被ってるだけだと思ってたんですよね現…

煌姫 _あばら家の姫君

「あばら家の姫たち」というエッセイがある(林望著)ものすごく乱暴にまとめると 「男ってのは、幽霊屋敷みたいなあばら家に住まう、高貴な絶世の美女を愛人に持つ、っていうのに憧れるんだぜ」 ということが書いてある、と私は捉えたそのロマンを追って成…

映画「源氏物語〜千年の謎〜」

全体的なざっくりとした感想は 「思ったより悪くなかった」レビューが低評価過ぎて ちょっと可愛そうな作品 細部に至るまで、けっこう丁寧な作りの作品だと思いますけどねただ 「源氏物語を知らないと展開についていけない」という感想は分からなくもないで…

姫君の髪の長さ

平安時代の貴族の女性の美人の条件として 髪の長さが挙げられるディズニーアニメ「ラプンツェル」を観たとき ラプンツェルが15歳くらいかと仮定し、15歳までにどれくらいまで伸びるのか 計算してみたことがある自分の経験から、髪の伸びる速度は10cm/年が平…

「瑠璃姫」という人生

今回、「なんて素敵にジャパネスク」を読み直して思ったのは なんていうか、命がいくつあっても足りないってこういうこと言うんだろうなあ と言うことです子供の頃読んだときは ワクワクドキドキの連続で、なんて面白いんだろう! ドラマチックゥゥ! っていう…

瑠璃姫は恋愛を神聖視しているか

斎藤正一氏が 「なんて素敵にジャパネスク」論なるものを書かれていて(ググったら出てきます)その中で 瑠璃姫は「恋愛至上主義」で恋愛を神聖視している、と述べられているのですが私としてはいくら成人になる年齢や、結婚適齢期が今より低いと言っても16…

格子(蔀戸)の謎

寝殿造の格子 蔀戸とも言われているらしいですが ググると、以下の写真が出てきます わたしが疑問なのは 格子の隙間が何で覆われていたのか ということこの写真だと障子紙が貼ってあるように見えませんか?これだと夏はよくても 冬、超寒そう。。。しかも台風…

「僕で我慢しなよ」 一人歩きするセリフ

トリビュート集に掲載されていた学園現代モノ(「じゃぱねすく六区」)を読んで 「僕で我慢しなよ」 というのが、ジャパネスクの名ゼリフとして知られている、 というようなことが書いてあったのだが そんなことになっているとは知らなかった瑠璃姫は結婚願望…

「婿取り婚」と高彬

平安貴族の婚姻形態が 「通い婚」「婿取り婚」「一夫多妻」で現代日本の「同居婚(が一般的)」「嫁取り婚(が大多数)」「(法律的に)一夫一妻」とは違う、ということはなんとな〜く理解していたつもりだったけれどでも源氏物語で光源氏は 後ろ盾のない姫君を自…

瑠璃姫の「結婚問題」

氷室冴子さんが「なんて素敵にジャパネスク」を書いたきっかけは ご自身が当時、親から「結婚しろ〜」攻撃を受けていたから、それをネタに書こうと思った、 そこで コバルト文庫のターゲット読者年齢層で親から「結婚しろ〜」なんて言われる時代はいつだろう…

「平安女子は、みんな必死で恋してた」

イザベラ・ディオニシオ著多大なる敬意を表して 著者のことを敢えて「イザベラちゃん」 とお呼びさせていただいきます自称、文学オタクのイザベラちゃん 現代日本語を自由自在に扱い 古語や短歌の解読までマスターしているその能力に すっかりノックアウトさ…

着崩しに関する雑感

林望著「あばら家の姫君」で紹介されていて知った俳句 「さしぬきをあしでぬぐ夜や朧月」 与謝蕪村 青の矢印で示しているのがさしぬき(指貫) 山内直実氏のTwitterより拝借いたしました 林望氏は この俳句を、面倒くさがって足で指貫を脱いでいるところ、な…

帥の宮はプレイボーイか

八重桜。 ジャパネスクのニの姫、「ざ・ちぇんじ!」の宰相の中将は私にとってこういうイメージ 自分で書いてて笑えるのだけれど なんで私はこんなに、ムキになって 「ざ・ちぇんじ!」の宰相の中将を応援しているのだろう山内直実さんが「ざ・ちぇんじ!」のキ…

綺羅と帝(今上)

「ざ ・ちぇんじ!」の綺羅君(女)は なんで帝が好きなんだろう という疑問が さいとうちほ氏の「とりかえ・ばや」を読んで 理解できた、ような気がした。「とりかえ・ばや」は、私の解釈では ワーキングガールのハナシである。 マーガレット・サッチャーを…

「ざ・ちぇんじ!」と「とりかえばや物語」

↑山内直実さんのTwitterより 平安絵巻風「ざ・ちぇんじ!」の美しいイラスト。惚れ惚れする氷室冴子著「ざ・ちぇんじ!」は平安末期、鎌倉初期、つまり大河ドラマ「鎌倉殿の13人」あたりの時代に成立した古典「とりかえばや物語」を下敷きとして創作されている…