煌姫 _あばら家の姫君

「あばら家の姫たち」というエッセイがある(林望著)

ものすごく乱暴にまとめると
「男ってのは、幽霊屋敷みたいなあばら家に住まう、高貴な絶世の美女を愛人に持つ、っていうのに憧れるんだぜ」
ということが書いてある、と私は捉えた

そのロマンを追って成功(あばら家に住まう美人をゲット)したのが
源氏物語の「夕顔」で
失敗談が「末摘花」ということらしい

源氏物語に出てくる才媛の高貴な姫君に、
全く感情移入出来ない私からしたら
末摘花に同情してしまうのですが。。。

ものすごく余談なんですが、
私の実家、けっこう広いんですよ
遊びに来た友人が口少なになるくらいに。。。
(ただし、私の実家がある地域は、瑠璃姫の内大臣家のような敷地をお持ちの方は珍しくなく、実家はどちらかというと狭いほう。。。、みたいな)

多くの面積は庭なんですけれど、
庭というのは
手を入れないと、あっという間に自然に返ってしまうものだというのも
この実家から学びました
一時期、全く手入れしなかった期間がありまして
私も、そのときは家を出ておりましたので
年に数回しか寄り付いていなかったんですが、
自然に返っている庭を見ては
「末摘花のあばら家も、かくや。。。」
と感慨深かったのでした。
庭ってのは、ホントに道楽よ。。。


で話を戻しますと、「あばら家に美人の恋人」というのは
今の言葉で言うと「ギャップ萌え」なんでしょうかね
イマイチ言葉の意味が分かってないので、消化不良気味なんですが。。。
それはさておき

このロマンって相当男のエゴだよなあ

財力のある正妻を持った上で、
あばら家の姫君も愛人「コレクション」に加えるのも趣きがあっていいよなあ、みたいな

あばら家に住んでいる姫君は好き好んで住んでいるわけじゃなく
通う男君がいてくれたら、この貧乏生活から抜け出せる、と思っているのに

「あばら家に住んでるところが
堪らなく魅力的なんだよね」

なんて言われたら
愛する人にそれなりの暮らしをさせてこそ、男の甲斐性ってもんでしょうが!」
と蹴り飛ばしそうだ

ジャパネスクで唯一あばら家に住んでいて、
血筋も申し分なく、
しかもとびきりの美人の煌姫は

「いくら宮様でも、無位無品の(つまり収入が無い)方と親しくする気はありませんのよ」

「貧乏宮家は自分だけでけっこうです」
と言いきっている。

愛にすがった貧乏脱出よりも
弱みを握って生活の保証を望む煌姫

そんな煌姫には、あばら家の姫に男のロマンを感じる連中に言い放ってほしいものである。

「男は稼いでナンボですのよ。身分が高ければなお結構なのですわ。ですけれど、いくらそんな殿方でも、あばら家に姫を留置いて、自己満足に浸る殿方なんぞ、それこそ物の怪に食われてしまえばよろしいのです」

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