瑠璃姫の「結婚問題」

氷室冴子さんが「なんて素敵にジャパネスク」を書いたきっかけは
ご自身が当時、親から「結婚しろ〜」攻撃を受けていたから、それをネタに書こうと思った、
そこで
コバルト文庫のターゲット読者年齢層で親から「結婚しろ〜」なんて言われる時代はいつだろう、と思ったら平安時代に行き着いた
というようなことをおっしゃられていたのを
何かで読んだと記憶しています。

リアルタイムで読んでいた当時、まだ子供だった私は
あはは〜、大変だなあ、
って超ヒトゴトだったよ。。。

それから約二十年くらい経って、現代の適齢期をとうに過ぎても全く結婚の気配がなかった私も、
親からの「結婚〜、結婚はまだか〜」っていうライトな圧はかけられようになり
氷室冴子さんの気持ちがちょーっとだけ分かるようになった、気でいたのですが。。。

氷室冴子さんのエッセイ「いっぱしの女」を読んで、彼女が母親から受けていた結婚の圧力は、そんなもんじゃなかった、ということが判明して、めちゃくちゃビックリした

もうハラスメントレベルですよ、これ!

「お前のことが心配のあまり」で「トイレ掃除した後の雑巾を寝ている娘の顔面に叩きつけ」「このゴクツブシ」となじられる、んですよ?

そんな行動に移されるくらいなら「心配」なんぞ、してもらわなくて結構です!

そんな時代だったんだろうか。。。と思ったけれど、
氷室冴子さんより二十年以上前に生まれた向田邦子さんも、生涯独身で、結婚しない娘を、やはり親が心配している、というようなエッセイを書いてらしたけど、親が心配のあまり、そんな過激な行動を取ったようなことは書かれていなかったよ。。。

とまあそんなわけで「なんて素敵にジャパネスク」は、平安貴族の適齢期を過ぎて結婚しない娘を心配する父親の怒号で幕が開ける。

大人になってみて読むと
瑠璃姫は、摂関家の流れを組む名門藤原家の惣領姫、かつただ一人の娘(現代でいうと、ただ一人の跡取り息子、みたいな)、という設定なので、お家柄結婚しないのは、まあ色々とマズイよね、ということが分かってくる。

父親が権中将のヨバイの黒幕になってでも、結婚させたがった焦るキモチもなんとなくわかるし、婿入り婚のお父さんが、瑠璃がついに高彬と結婚する、となったとき(「瑠璃姫にアンコール!」)、「これで私も、お前の死んだ母さんの顔向けできる」と涙した理由も、今になって分かりました。

ただそんな跡取り娘が入内したら困らないんだろうか。
鷹男から御文が届いたことで、何度目かの初夜をぶち壊された時、父様はそんなことは言ってなかったよね。。。
もし入内したら融が「嫁取り」するんだろうか?

それに遊び好きな(浮気症な)父様、という設定の割に、子供の数少ないし
(いや、いるけど出さなかっただけか)


じゃあお前は親と娘のどっちの味方なんだ、と言われると非常に困るんですが。。。

いやあ、庶民で良かったよね〜
と、負け惜しみをつぶやく程度にしておこう

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