夏目漱石の作品できちんと読んだのは「こころ」だけです。
高校の国語の授業で
「全文読んでこい、授業はそれからだ」という先生だったので。
読んだけど。。。
「はあ。。。?」
というのが正直な感想だった。
授業で先生の解説をきいても
そうですか。。?
という感想しかなく
「だから漱石は天才なんだ!」
と力説されても、
そうなの?
としか思えない凡人。。。
数年後に
「漱石は天才」
と語る人にも出会ったなあ。。。
たまたま「こころ」の゙授業があった頃、加藤剛主演で当該作品が単発ドラマとしてテレビで放映されまして。
真面目な(すみません、嘘です)私は観ましたよ。
「先生」役を加藤剛が演じていたのですが、なんとその「先生」は、作品を読んで私がイメージしていた通り、寸分の狂いもなく、想像した通りの喋り方、振る舞い、だったんですよ
いや、衝撃でしたね
で「お嬢さん」は、葉月里緒奈だったんですけど、「お嬢さん」ってセリフないのですよ。なので、笑っているとか、振る舞いとかしか演技がないのですけど。。。
ノーコメントでいいですか?
友人のKも「私」も、もうなにも思い出せないし。。。
で、99%、セリフは原作通りだったんですけど(そこは覚えてる)、「先生の奥さん(元お嬢さん)」が、最後に原作に無いセリフを言いましてね。。。
コレね
高校生だった私は
「ああ、なるほど。そういう解釈もあるんだなあ。。。でも、このセリフはいらないかなあ。漱石が書こうとしたことが、なんだか、ぶち壊された感じがするなあ」
と、何もわからないなりに、そんな生意気な感想を抱いたのです。
で、「こころ」は私の敬愛するイザベラちゃんも「女が書けない文豪たち」で取り上げてくださっていて、「何も分からない」と、ハッキリ書いていました。
彼女の「分からない」というのは、登場人物たちの詳細のことですが。
あ、音楽座ミュージカル「アイラブ坊っちゃん」は傑作ですよ。主人公は夏目漱石です。
で、
(前フリ長かった。。。)
この「愛の手紙の決めゼリフ」
恋愛相手だけでなく、
家族(母、甥、子供)、友人、別れた妻、など
色々な相手にむけて書かれた言葉の抜粋です。
文豪だけでなく、書き手はもっと広く紹介されています。
私の心の刺さる、というか「面白いなあ」と思ったフレーズは、ことごとく漱石の言葉でした。
後輩や友人への手紙や葉書がいくつか紹介されていまして、何と言いますか、ユーモア?があるというのでしょうか
「不図した出来心から拙宅へ来て 寝転んで食う積で(菓子を)買ってきたんですか」
これは背景を知らないと失礼な物言いに聞こえるのですが、親密な間柄だからこそ、のお手紙(私が書きますと面白くありませんので、ぜひ本をお読みください)
「ビスケットはすんずん片付くけれども」
ビスケットは減るのに、採点すべきテスト用紙は全然減らないんだけど!
というお便り。
ずんずん。。。
お腹の中にビスケットがたまってゆく様が目に見えるようです。机を前に、右手にペン、左手でビスケットをつまんでは口にポイポイとほうりこんで、ボリボリとやっている漱石を想像すると面白い。
最後は
コイツ、頭大丈夫か?
と一瞬思ってしまった一文をご紹介
「5月のそよ風を
ゼリーにして 持って来てください」
前後の文をきちんと読むと、サッパリしたものが食べたいんですね、ということがわかったんですが、この一文だけ見ると、頭の中が「?」でいっぱいになります。
誰が書いた手紙かって?
読んでのお楽しみ、ということで。
漱石ではありません。
彼はこういうロマンチックなセリフはお好みではないようです