中谷美紀を「読む」

オーストリア滞在記」

「文はやりたし」

 

知人が、女優 中谷美紀のエッセイを読んだ、ということで私も読んでみました。

と言っても今の処、上記の二作品だけなのですが。

他の著作も、図書館で検索して所蔵あれば予約しよう。

と思ったら、府立中央には無かったよ!

なんてこったい

 

 

個人的には「文はやりたし」のほう読み応えがありました。

 

私は中谷美紀という女優に興味を持ったことはなく、

友人が

中谷美紀は美人だと思う」

中谷美紀は日本のニコールキッドマンだ」

とか言っていても、

なんの興味も示さなかった人間なのです。

 

映画「千年の謎」の感想で、中谷美紀の演技が凄かった、とか書いときながら、何なんですけど。。。

いや凄かったんですよ、

ホント凄かったけど、

紫式部が何考えてるかは、さっぱりわからんかったんよ。。。

あの映画。。。

 

ただエッセイ本好きな私は、中谷美紀ってエッセイ書いてるんだー、あ、図書館にあるじゃん、というノリで読んでみた。

 

文章の柔らかさで読みやすいのは、「オーストリア滞在記」と思いますが、日記なので当たり前ですが、起承転結がなく、彼女の私生活に興味があるならともかく、「作品」として読んでしまうクセの有る私には「これは日記」と気付くまで、ちょっと助長な感じでした。

「文はやりたし」は構成が考えられているので、一つ一つすごく面白く、漢字の多いがゆえの文章の硬さはあるものの、恐ろしくテンポがよく、別の意味でスイスイ読めます。

一点言うなら、一つの名詞に対する修飾語がかなり多いのが、彼女の文章の特徴で、その修飾語から彼女の他者へのリスペクトや、知識の豊富さが伝わってくるのですが、一気にいくつものエピソードを読んでいると、少しばかり煩わしさが出てくることもあります(私がイラチなのも原因だと思います)。

 

とはいえ、日本を代表する女優さんが、掃除、料理、ゴミ捨て、ガーデニングを自らする生活や、彼女のモノの感じ方や、考え方、常に他者をリスペクトする姿勢や、仕事に向き合う純真さ、そしてひたすら謙虚でいらっしゃる様子に

「芸能界で生きながら、なんちゅー地に足の付いたヒトなんじゃ。。。」

という感想を持ちました(このラフな言葉使いから、いかに私が驚いたか想像いただければ)。

 

彼女は「美しい」という形容詞で表されることの多い女優さんですが、この「美しさ」はこの内面からくるものなんだなあ、とシミジミ思いました。

ただ美しいだけなら、掃いて捨てるほどいる世界ですからね。

 

私としては、彼女にふさわしい形容詞は「美しい」ではなくて「かっこいい」だと思いました。

 

「美しい」という賛辞を否定するかのように、カッコ悪い自分や失敗をさらけ出すことができる彼女のしなやかな強さ、体脂肪まで公表する潔さ(意外と体脂肪あるんだな。。。)

 

そしてそれをしても、全く醜くならない彼女の文章力と思考力と知性

 

 

天は2物も3物も与える

 

 

#中谷美紀