「なんて素敵にジャパネスク」と私

数年ぶりに図書館に行って 何十年ぶりかにコミックの山内直実(原作:氷室冴子)「なんて素敵にジャパネスク」を見つけて読んだコミックの人妻編が10年のブランクを空けて出ているのは知っていたけれど 人妻編が連載していた時は、もう追ってなかったので(もう…

鬨の声を聞きながら、邯鄲の夢に酔う

アニメ「雲のように風のように」で、以下のシーンがある。素乾城に反乱軍が侵入してきた後 双槐樹は義母のところに行き、御簾越しに話しかける「逃げることをおすすめ申したのに、 まだいらっしゃったのですか 聞こえるでしょう 反乱軍のあのトキの声が…」こ…

漆黒のファッション

木ではなく、人のほうの 双槐樹の服装について、原作では以下のように書かれている。髪に被せるショール(髪巾)、厚手の生地であつらえたワンピース(女装のためかと思ってたら、皇帝としても着ていた)、ブーツ(たぶんニーハイ)まで、すべてを黒で統一し…

双槐樹

双槐樹は学名をコリューンといい、10年に一度、漆黒の花を咲かせる木だという。神仙のみがその姿をみることができるというから、想像上の…、いや…、作者のデッチアゲである。姉の玉遥樹も同じような理由での命名かもしれないが、そこには全く触れられていな…

少女の成長

オードリーヘプバーンの言葉だったと記憶している。「賞を受賞したからといって、私は何も変わらない。 誕生日がきても、何も変わらないのと同じ」鳥海監督によると このアニメ「雲のようにに風のように」は、田舎の幼い少女が、後宮という封建社会に身をお…

ファンタジーというカテゴリー

ファンタジーは好きなジャンルだと思う。 恋愛やホラーは好まない。恋愛は、ストーリーの構成要素として存在しているのは、むしろ好ましく思っている。ただ、恋愛をメインに据えられると、映画にしろ、小説にしろ、食指が動かない、というだけである。理由は…

意外な人物

「後宮小説」の作品説明に「宮女候補が実は皇帝、という意外性」みたいな一文がある。私は、アニメを先に見ていて、その時一緒に見ていた母が、 双槐樹の初登場シーンで「きっとこの人が皇帝だよ」と呟いたのである。これは、ミステリードラマで、まだ事件も…

カオスという存在

混沌と名付けられた登場人物がいる名は体を現すという表現があるが、この人物は、存在そのものを現している「後宮小説」の後半、反乱軍(といっていいのか分からないが)が一国の太平を脅かし、度重なる幸運によって、王朝を滅亡させた張本人なのだが、本人…

玉遥樹

アニメ化の際、人物像が大きく変えられた点でいえば、菊凶と並んで玉遥樹が挙げられるだろう菊凶がクールビューティ(この言葉を男性に当てはめてもよいのかは知らないが、使う)から、コメディタッチに格下げ(?)的な変更をくらったのに対し、 原作におけ…

ジェンダー

実写版「美女と野獣(2017年)」で、ディズニーは初めて同性愛者を描いた。らしいらしい、というのは私はディズニーの全作品を見ているわけではないので…ディズニーの「美女と野獣」はアニメ、実写版、どちらも見た。 素晴らしい出来だった。 が、今回そちら…

瀬戸 角人

セト カクート と読ませている。 小国ではあるが、王族の血統に生まれ、白眉の向こうに蒼い瞳をもつ、齢70を越えた哲学家である。私はこの老哲学家が出てくる場面を好んで、なんども読み返している。 「後宮小説」がタイトル通り、主に後宮の出来事を書いて…

菊凶

後宮小説がアニメ化されるにあたって、大幅な人物像改変が行われた1人が菊凶だろう 原作者から「たのむわ…菊凶」と書かれた不憫な(?)人物である私はアニメを先に見ていたことと、原作を読んだのが中学一年生だったこともあり、あまりよくわかっていなかっ…

モチーフとしての馬小屋

もはや名ばかり、落ちぶれた(と自分で言っている)皇帝双槐樹と、一応正妃の官職についている銀河が、名実ともに(?)、結ばれる…いや、ここは角人先生的にいおう。 二人が後宮哲学を証明する場所が馬小屋である。 分からない人は「後宮小説」を読もう私は…

江葉

原作者もおそらく気に入っている登場人物の1人ではないだろうかそして、アニメでも多くのファンを獲得したと思うし、原作をほぼ忠実に再現していた。というのも、放送された後、アニメ雑誌では、江葉だけを描いた読者のイラストが多数掲載されたのを見たか…

君は亜麻色の髪をみたことがあるか

亜麻色の髪とはどんな色だろう と思ったのは中学一年のときである後宮小説に 「 双槐樹は(中略)腰のあたりまで届くであろう亜麻色の髪を」 という記載があったからである。なぜ亜麻色に引っ掛かったかというと、 アニメ「雲のように風のように」では、双槐…

後宮小説/雲のように風のように

注意: タイトルの作品について、ネタバレがありますので、気にするかたは、ご覧になりませんよう。 以下本文 「後宮小説」は酒見賢一氏の処女作で、第1回ファンタジーノベル大賞受賞作である。三井不動産が一社独占スポンサーをはり、大賞はアニメ化するこ…

映画 ウォルト・ディズニーとの約束

トラバース夫人の子ども時代の回想シーンが出てくる度に涙がとまらなかった。これは私にまだ幼い子どもがいるので、過剰な感情移入が原因かと思っていたが、ネットの書き込みに、20台か30台とみられる男性が(ネットなので確かめようがないが)、回想シ…

chapter7-5. ポワロの人物像を守るのは私

クリスティによると『バッタのように一直線に向かった』とある。これもまた忘れたことのない原文である。 この処女作にはあと二つ、ポワロの特徴が書かれている。 彼女の表現で『灰色の脳細胞』とヘイスティングスにポワロが断言するセリフ『何も隠してなん…

chapter7-4. ポワロの人物像を守るのは私

そして難民たちを引き連れて、第一次世界大戦歌として有名な「It’s a Long Way to Tipperary」を合唱しながら、橋を渡る。 その歌声は、あまりはっきりとせず、そしてポワロは明らかに音痴である。 それはともかく、このシーンは難民であるベルギー人がなん…

chapter7-3. ポワロの人物像を守るのは私

あくまで私見だが、「スタイルズ莊の怪事件」の映像化にあたり、クリスティの原作に、Clive Extonが脚本、というのはこれ以上にない組み合わせだと思う。 原作が大ベストセラーになったのは、たまたまではなく、この作品には様々なミスリードや、ひっかけが…

chapter7-2. ポワロの人物像を守るのは私

アガサがティーンエイジャーになり、姉マッジと一緒に殺人ミステリーを読んで、議論していた時、アガサは探偵小説を書いて自分の腕を試してみたいと言い出した。 マッジは、やってみたら、といったが、アガサが本当に書くとは思っていなかった。このティーン…

chapter7-1. ポワロの人物像を守るのは私

「スタイルズ莊の怪事件」は、二本目の2時間半ドラマとなり、そして第二シリーズ最後の作品となった。 また、クリスティの生誕100周年を記念して放送されることになった。 実を言うと、イングランドでは、クリスティの生誕百年のちょうど一日前にあたる1990…

オリエント急行でお茶を【管理人による番外編雑記】

メリークリスマス!というわけで、管理人の雑記をエントリーいたします。私自身、クリスティのファンなのか、ポワロのファンなのか、はたまたスーシェのファンなのか、自分でもわかっていないのですが、そんな私もオリエント急行にはときめかずにはいられませ…