「わりなき恋」 岸恵子

岸恵子さんの「わりなき恋」を読みました この本の存在を知ったのは、「トヨトミの野望」です。 還暦前後の男性と、古希の女性のラブストーリーで 岸恵子の私小説ではないかとの噂がある作品です相手の男性も特定されていて、岸恵子とお付き合いされていたこ…

小説「月の輝く夜に」

同名の映画がありますが ここでは氷室冴子著「月の輝く夜に」について 「ざ・ちぇんじ!」と同じ文庫に収録されていたので、読んでみました。今市子さんのカラー表紙絵がとても美しい装丁の本です平安時代を舞台にしたお話ですが 「ざ・ちぇんじ!」 「なんて…

鷹男_リーダーはツライ

まだ6歳の幼い異母弟を、命だけは救う為にと 出家させねばならずその親王の出家を、極秘で行うよう指示できるほど信頼し、位階も上げた僧侶(唯恵)は 実は存在すら知らなかったほぼ同い年の異母弟で、 その事実を知らないうちに、異母弟に殺されかける年の…

高彬が瑠璃と結婚した理由

今回改めて読み直してみて思うのは なんで高彬は瑠璃とそんなに結婚したいんだろう、ということだったカルガモの子供みたいに 初恋の女のコが結婚相手、という刷り込みでもおこっているのだろうかそれくらいブレない瑠璃がいろんなトラブルを起こしても 「そ…

吉野君の行方

荷葉の女 正確に言うと唯恵(吉野君)と、深夜に石山寺のお堂の裏で 殺人計画の話をしている時、 闇夜にまぎれて「荷葉」の香りが漂ってきたことに気付いて 「あ、荷葉が」 と呟いてしまった為に、唯恵に毒殺されてしまった、なんとも気の毒な登場人物しかも…

涼中将と瑠璃

涼中将の外見を描写する瑠璃の心うち「いい男で、ただ少し肉付きがゆるく、全体に柔和で、微妙に線の崩れた感じがある。もともとそうだったというより、婚家の権力に抑圧されて、その面当てに、浮気をしては妻と諍いを繰り返す生活で、少しずつ、何かが砂の…

小萩

瑠璃姫付き女房の小萩は人好きするタイプで 瑠璃とだけじゃなく、 瑠璃の父母、融のほうとも うまくやっている邸づとめの女房としては非常に珍しいタイプ と書いてある家人への気遣いもかなりできるみたいだし、 先輩女房として、生意気な後輩(早苗)をかば…

姫の懐剣

これまでは、ジャパネスクを読んで疑問に思ったことを、 ググッてみたら こんなことがわかったということを書いてきたのですが今回は「結局よく分からなかった」ことについて、ですジャパネスク2では、 三条邸の焼跡で、瑠璃は懐剣(短刀)で吉野君を刺しに…

殿方の被り物

漫画のジャパネスクで、貴族の殿方は 烏帽子を被った姿で描かれることが多いです登場回数が圧倒的に多い高彬は 冠だったり烏帽子だったり、で登場します融やお父さんはほぼ烏帽子姿。。。烏帽子も冠も、 スポって、ただ被ってるだけだと思ってたんですよね現…

煌姫 _あばら家の姫君

「あばら家の姫たち」というエッセイがある(林望著)ものすごく乱暴にまとめると 「男ってのは、幽霊屋敷みたいなあばら家に住まう、高貴な絶世の美女を愛人に持つ、っていうのに憧れるんだぜ」 ということが書いてある、と私は捉えたそのロマンを追って成…

映画「源氏物語〜千年の謎〜」

全体的なざっくりとした感想は 「思ったより悪くなかった」レビューが低評価過ぎて ちょっと可愛そうな作品 細部に至るまで、けっこう丁寧な作りの作品だと思いますけどねただ 「源氏物語を知らないと展開についていけない」という感想は分からなくもないで…

姫君の髪の長さ

平安時代の貴族の女性の美人の条件として 髪の長さが挙げられるディズニーアニメ「ラプンツェル」を観たとき ラプンツェルが15歳くらいかと仮定し、15歳までにどれくらいまで伸びるのか 計算してみたことがある自分の経験から、髪の伸びる速度は10cm/年が平…

「瑠璃姫」という人生

今回、「なんて素敵にジャパネスク」を読み直して思ったのは なんていうか、命がいくつあっても足りないってこういうこと言うんだろうなあ と言うことです子供の頃読んだときは ワクワクドキドキの連続で、なんて面白いんだろう! ドラマチックゥゥ! っていう…

瑠璃姫は恋愛を神聖視しているか

斎藤正一氏が 「なんて素敵にジャパネスク」論なるものを書かれていて(ググったら出てきます)その中で 瑠璃姫は「恋愛至上主義」で恋愛を神聖視している、と述べられているのですが私としてはいくら成人になる年齢や、結婚適齢期が今より低いと言っても16…

格子(蔀戸)の謎

寝殿造の格子 蔀戸とも言われているらしいですが ググると、以下の写真が出てきます わたしが疑問なのは 格子の隙間が何で覆われていたのか ということこの写真だと障子紙が貼ってあるように見えませんか?これだと夏はよくても 冬、超寒そう。。。しかも台風…

「僕で我慢しなよ」 一人歩きするセリフ

トリビュート集に掲載されていた学園現代モノ(「じゃぱねすく六区」)を読んで 「僕で我慢しなよ」 というのが、ジャパネスクの名ゼリフとして知られている、 というようなことが書いてあったのだが そんなことになっているとは知らなかった瑠璃姫は結婚願望…

「婿取り婚」と高彬

平安貴族の婚姻形態が 「通い婚」「婿取り婚」「一夫多妻」で現代日本の「同居婚(が一般的)」「嫁取り婚(が大多数)」「(法律的に)一夫一妻」とは違う、ということはなんとな〜く理解していたつもりだったけれどでも源氏物語で光源氏は 後ろ盾のない姫君を自…

瑠璃姫の「結婚問題」

氷室冴子さんが「なんて素敵にジャパネスク」を書いたきっかけは ご自身が当時、親から「結婚しろ〜」攻撃を受けていたから、それをネタに書こうと思った、 そこで コバルト文庫のターゲット読者年齢層で親から「結婚しろ〜」なんて言われる時代はいつだろう…

「平安女子は、みんな必死で恋してた」

イザベラ・ディオニシオ著多大なる敬意を表して 著者のことを敢えて「イザベラちゃん」 とお呼びさせていただいきます自称、文学オタクのイザベラちゃん 現代日本語を自由自在に扱い 古語や短歌の解読までマスターしているその能力に すっかりノックアウトさ…

着崩しに関する雑感

林望著「あばら家の姫君」で紹介されていて知った俳句 「さしぬきをあしでぬぐ夜や朧月」 与謝蕪村 青の矢印で示しているのがさしぬき(指貫) 山内直実氏のTwitterより拝借いたしました 林望氏は この俳句を、面倒くさがって足で指貫を脱いでいるところ、な…

帥の宮はプレイボーイか

八重桜。 ジャパネスクのニの姫、「ざ・ちぇんじ!」の宰相の中将は私にとってこういうイメージ 自分で書いてて笑えるのだけれど なんで私はこんなに、ムキになって 「ざ・ちぇんじ!」の宰相の中将を応援しているのだろう山内直実さんが「ざ・ちぇんじ!」のキ…

綺羅と帝(今上)

「ざ ・ちぇんじ!」の綺羅君(女)は なんで帝が好きなんだろう という疑問が さいとうちほ氏の「とりかえ・ばや」を読んで 理解できた、ような気がした。「とりかえ・ばや」は、私の解釈では ワーキングガールのハナシである。 マーガレット・サッチャーを…

「ざ・ちぇんじ!」と「とりかえばや物語」

↑山内直実さんのTwitterより 平安絵巻風「ざ・ちぇんじ!」の美しいイラスト。惚れ惚れする氷室冴子著「ざ・ちぇんじ!」は平安末期、鎌倉初期、つまり大河ドラマ「鎌倉殿の13人」あたりの時代に成立した古典「とりかえばや物語」を下敷きとして創作されている…

「ジャパネスク·リスペクト」

氷室冴子さんの没後10年、ということで出版された「なんて素敵にジャパネスク」のトリビュート集 「ジャパネスク·リスペクト」というのを読みました。これは2018年の刊行ということで図書館の書架にあったよ!山内直実さんが寄稿されているというので借りたわ…

「なんて素敵にジャパネスク」の「聖地巡礼」

前回は 「高彬が好きです!」 という、いったいなんの告白だよ、で終わってしまいましたが、今回はジャパネスクとその土地、です。 ジャパネスクは大好きだったのですが 私は今で言う「聖地巡礼」を全くしませんでした。 当時子供でお金が無かったことも理由…

「なんて素敵にジャパネスク」と私

数年ぶりに図書館に行って 何十年ぶりかにコミックの山内直実(原作:氷室冴子)「なんて素敵にジャパネスク」を見つけて読んだコミックの人妻編が10年のブランクを空けて出ているのは知っていたけれど 人妻編が連載していた時は、もう追ってなかったので(もう…

鬨の声を聞きながら、邯鄲の夢に酔う

アニメ「雲のように風のように」で、以下のシーンがある。素乾城に反乱軍が侵入してきた後 双槐樹は義母のところに行き、御簾越しに話しかける「逃げることをおすすめ申したのに、 まだいらっしゃったのですか 聞こえるでしょう 反乱軍のあのトキの声が…」こ…

漆黒のファッション

木ではなく、人のほうの 双槐樹の服装について、原作では以下のように書かれている。髪に被せるショール(髪巾)、厚手の生地であつらえたワンピース(女装のためかと思ってたら、皇帝としても着ていた)、ブーツ(たぶんニーハイ)まで、すべてを黒で統一し…

双槐樹

双槐樹は学名をコリューンといい、10年に一度、漆黒の花を咲かせる木だという。神仙のみがその姿をみることができるというから、想像上の…、いや…、作者のデッチアゲである。姉の玉遥樹も同じような理由での命名かもしれないが、そこには全く触れられていな…

少女の成長

オードリーヘプバーンの言葉だったと記憶している。「賞を受賞したからといって、私は何も変わらない。 誕生日がきても、何も変わらないのと同じ」鳥海監督によると このアニメ「雲のようにに風のように」は、田舎の幼い少女が、後宮という封建社会に身をお…